高専本科生の約6割が就職を選択すると言われています。そして高専からの就職率はほぼ100%で大手メーカーへも学校推薦で比較的簡単に入れることもあり「就職でもいいかな」と考えている人も多いのではないでしょうか?

先生が「高専生は優秀で大卒と同等」と言ってたので就職しようと思います。

まずは高専卒で就職するデメリットを知ってから進路を考えてみましょう!
この記事では、実際に高専本科卒で大手造船メーカーに就職したものの様々な現実を知って短期離職してしまった私が高専卒で就職して感じたリアルなデメリットを解説していきます。
- 進路選択を控えた高専生
- 高専生の保護者
- 進路指導を担当している高専関係者
私の経歴について簡単に紹介
まず初めに、この記事を書いた私が高専卒業後にどのような経験をしたのかについてですが、簡単に述べると以下の通りです。
- 高専本科卒で大手造船メーカーに就職
- 会社を2年で辞めて国立大学工学部に編入
- 大学院修士課程修了後、大手機械メーカーに新卒で再就職
したがって、高専本科卒で就職した世界と大学編入して院卒で就職した世界の両方を経験しているという珍しい経歴を持っています。
この経験に基づいて高専卒で就職するデメリットとメリットを解説していきます。

私のリアルな体験談は以下の記事になります!
高専卒で就職する3つのデメリット
それでは、高専卒で就職するデメリットを解説していきます。
大学・大学院卒と比較して昇進スピードやキャリアに制限がある

高専卒の就職先として一般的な大手メーカーや電力会社などのインフラ系といった大企業では、今でも学歴社会であることが多いです。
実際に私が入社した大手造船メーカーにおいても、大学・大学院卒を本社採用の総合職、高専・工業高校卒を工場採用の一般職として採用するという体制でした。
当時の私はそんなことさえ知らずに高専卒枠の選考を受けて1回の面接で内定を得て「大手企業に簡単に入れる高専卒最高!」と勘違いして浮かれましたが、実は工場採用の一般職だから簡単に入れたのでした。
高専卒で就職すると、学歴とそれによる採用区分がこの先の会社生活でずっと足を引っ張りつづけるリスクがあります。
一方で努力して成果を出せば高専卒でも同年代の大卒を抜けるという意見もあるかと思います。
しかし、社会人になってから報われる可能性の低い努力を続けるよりも、高専の段階で努力して大学編入しておく方が確実性が高く努力が報われやすいと考えます。
さらに、新卒、中途に関わらず企業や団体の募集要項において大卒を応募資格としている募集については、高専卒は原則として応募することはできません。
したがって、学歴は思っている以上にこの先の人生において昇進スピードやキャリアの選択肢に影響を及ぼし続けます。
大学での勉強や研究、学生生活を経験する機会を失う

私は高専卒で就職するも在職中に大学編入試験を受験して合格、大学に3年次編入します。
正直、大学生活はめちゃくちゃ楽しいですし、授業で新たな知識を得たり、高専で学んだことを大学でさらに進化させて研究を通じて成長を実感するという充実した時間を過ごすことができました。
高専卒で就職すると経験できなかった世界が大学には広がっていて、この機会を失うことは大変もったいないことだと思います。

私は大学の造船学科で大好きな船について研究しました!
社会人経験やスキルなんて大学院を修了してからでもいくらでも身に着けることができますが、大学で学ぶ機会は人生で若い時にしか得られない貴重なものです。
そして、大学では高専以上にキャンパスの施設や実験設備が充実しており、教授陣の層も厚く、各研究分野の権威である教授陣から指導を受けながら充実した環境を活かしてより高度な内容の研究に打ち込むことができます。
さらに、大学工学部においても授業やレポート、定期テストなどでそれなりに忙しくはありますが、編入学する3年次にもなると授業数は少なくなり、夏休みと春休みは、それぞれ約2か月もあることから自由に使える時間が高専よりも圧倒的に多いです。
社会人になるまで少なくとも2年間の時間的猶予が得られるため、自由な時間を活用して勉強や研究以外の活動に取り組みながら、大学卒業後の進路についてじっくりと考えることができます。
私が高専卒就職して現場で苦労したり業務に追われて残業をしているときに大学編入した同級生がこのような経験をして、しかも、後から社会に出るにもかかわらず昇進スピードやキャリアで私よりも優位な立場に立てるのです。
この先の人生で学歴コンプレックス感じる機会が何度もある

高専生の多くが中学時代に努力して成績がよく、高専入学後も過酷なレポートや定期テストを乗り越えて進級していきます。さらに「高専生は優秀」という先生やSNSでの声もあり、高専生は高専という学歴に誇りを持っている人も多いと思います(私もそうでした)。
しかし、最終学歴が高専卒のままで社会に出ると、会社からの待遇や何気ない会話、恋愛や結婚など仕事やプライペート両方で学歴に引け目を感じる場面が必ず出てきます。
そして、高専を卒業したという誇りと、優秀といわれながら待遇としては大卒より下という現実とのギャップに悩むことになりがちです。
とりわけ、高専は世間一般の知名度が低く、「専門学校?」、「工業高校?」、「短大?」といった具合でいちいち高専について説明するのが大変ですし、高専への誤解、認知度の低さを実感します。さらに、アンケートにおける最終学歴においても「高等専門学校」という選択肢がないことが多く、泣く泣く短大や専門学校を選ばなければならなかったりします。
大学編入して大学を卒業しておけば、そんな面倒事とは無縁です。形式的なことのようですが、学歴コンプレックスを抱えている人はそれなりに多く(googleでかなり検索されています)、この先の人生で学歴コンプレックスを感じて自分なりに克服して乗り越えなければならないという精神的な負担は意外にも大きなデメリットになります。
高専卒で就職する3つのメリット
高専卒で就職すると大きなデメリットがあることを解説しましたが、逆に高専卒で就職するメリットについても解説していきます。
進学に伴う費用がかからず、すぐに稼ぐことができる

大学への進学には当然お金がかかります。大学に収める入学金や授業料はもちろん、家賃や食費、光熱費など生活するだけでもどんどんお金がなくなっていきます。
私の経験上、授業料免除や学生寮を活用して支出を抑えたとしても学部を卒業するまでの2年間で300万円弱を使いました。
ちなみに、そのお金は高専卒で就職して2年間働いて貯めたお金だったので、高専卒で就職して働いていれば2年で300万円近く貯めることだってできます。
一方で、高専から編入する大学の多くが国立大学工学部で、大手メーカーへの就職にも強く、総合職として採用させることも考えると奨学金を借りて大学編入したとしても長い目でみれば損をすることはないと考えます。
大手企業に入りやすい

大学・大学院卒を比べた待遇やキャリアでのデメリットを前述しましたが、それでも大手企業は大手企業で、中途半端な大卒や中小企業よりも給料が高く、家賃補助などの充実した福利厚生を得ることができます。
昇進やキャリアについて割り切ることができれば、その待遇や給料は決して悪いものではないと思います。
また、工場採用の一般職であっても履歴書に残る職歴は大手企業勤務なので、その後、転職するとしても大手企業勤務というブランドは大いに役に立ちます。
大手企業において大きな責任やプレッシャーを負わなくてもよい

工場採用の一般職の場合、総合職のような都道府県を跨ぐ転勤はなく腰を据えて生活することができます。
さらに昇進やキャリアが制限されているのと引き換えに大きな責任やプレッシャーを負わなくてもよいというメリットもあります。
大手メーカーの管理職は日中の予定は会議で埋まり、定時後に自分の作業するという働き方が常態化しがちです。また、労働者ほど労働時間が厳しく管理されないので休日や夜間に仕事をしている人もおり、それが果たして幸せなのかと疑問を感じることもあります。
ワークライフバランスが重視される現代においてこのメリットは意外にも大きいのではないでしょうか。
まとめ
高専卒で就職すると学歴や採用区分でハンデを抱えることが多く、大手メーカーのような大きな組織で働き続ける限りそれを跳ね返すことは大変難しいことです。
折角、入るのも出るのも難しい高専を卒業して高度な専門知識を習得しているのですから、高専生には、大学でさらに視野を広げ、社会において高専で学んだことを活かしきれるキャリアを歩んで欲しいと個人的には思います。
一方で、大手企業で総合職として出世を目指すことだけが人生の全てではないので、高専卒で就職することが間違っているとも言うこともできません。
そのため、思い込みや噂、周囲の流れに振り回されずに、きちんと情報収集した上で、自分がどのような人生、キャリアを歩みたいのか考えて自分に合った進路を選ぶことが大事だと思います。
この記事が高専生の後悔のない進路選択の一助になると幸いです。




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