大学工学部や高専としった理系出身者の代表的な就職先が大手メーカーです。ですが、SNSなどにおいて「給料が上がりにくい」、「地方工場に飛ばされる」といったネガティブな意見も多く見受けられます。
そんな風潮もあってか理系出身であってもコンサルティング業界などのメーカー以外を選択する学生も増えてきています。

メーカー就職に魅力はないのでしょうか?

メーカーで働くデメリットとメリットを冷静に分析してみましょう!
この記事では、重工業系のメーカーを3社も渡り歩き、さらにメーカー以外(特許事務所の弁理士)も経験した私の実体験に基づいてメーカーで働くデメリットとメリットを解説していきます。
- 理系の大学・大学院生、高専生
- メーカーへの転職希望者
大手メーカーで働くデメリット
早速ですが、大手メーカーで働くデメリットから解説していきます。一口にメーカーといっても様々な業界があって業界によって違いはあるので、ここでは私が深く関わってきた造船や重工業といったいわゆる重厚長大系のメーカーにおいて感じてきたことを紹介していきます。
年功序列の官僚制組織で若いうちから給料が上がりにくい
大手メーカーは典型的なJTC(Japanese Traditional Company(伝統的な日本企業))なので、給料の上がり方は年功序列です。さらに、個人としてではなくチームとして評価されるので、個人が目覚ましい成果を上げたとしても給料にすぐ反映されるわけではありません。
特に私が高専卒で入社した会社では、入社時の学歴と採用区分でどこまで昇進できるかが決まっていて、事業所採用である非大卒(高専・専門・高卒など)は課長補佐が限界で、本社採用の大学・大学院卒はよほどのことがなければ課長にはなれるといった体制で、官僚制組織であることもデメリットです。
年功序列の官僚的組織なので、売上に直結して収入が上がる特許事務所のように若くして大金を稼ぐということは難しいのですが、官僚制組織のメリットを享受できる総合職として年次を重ねると確実に給料は上がっていきます。
僻地工場勤務になる可能性が高い

メーカーなので工場があるわけですが、工場は広大な土地が必要なこともあって地方の特に僻地と呼ばれる場所に立地しがちです。特に理系出身で技術職として入社すると高い確率で工場配属となります。
現場を知ることは良い経験になる一方で、残念ながら僻地工場勤務は若者にとって環境や体験、結婚などで様々なデメリットがあることも事実です。

私が実際に経験した地方勤務のリアルを解説しています!
柔軟な働き方が認められにくい

地方工場は昭和な文化が色濃く残っており、テレワークやフレックスといった現代的な働き方が認められづらくボロボロの事務所に毎日出社という働き方になりがちです。そもそも工場は現場中心なのでテレワークやフレックスといった現代的な働き方と相性が悪いです。
女性が働きづらく、そもそも女性が少ない

特に地方工場では昭和な文化が色濃く残ることもあり、「女性社員が偉い人のお茶くみをさせられる」といったことが普通にあったり、男性ばかりで建物やデスクも汚いことあって環境的にも文化的にも女性が働きやすい環境とは言いづらかったりします。それもあって女性社員が少なく、典型的な理系男性ばかりで他の業界よりも社員の多様性に乏しいです。
男性側からみても、都会のオフィスを舞台にしたドラマのような社内恋愛はまずないので、恋人ができたり結婚といったことが普通に過ごしているだけでは極めて困難となります。
部署や立場にとっては長時間労働になることも
大手メーカーの仕事はチームでのものづくりになるので一人の遅れがチームや後工程の迷惑になるといプレッシャーがあります。そして部署やプロジェクトの状況によっては長時間労働せざるを得ないこともあります。
管理職になれば、日中はほとんど会議で埋まり、定時後に自分の作業をするといった働き方になりがちです。高給とはいえ、幸せなのかというと疑問でできれば管理職になりたくないというのが正直なところです。
工場では危険と隣り合わせ

現場で実際に作業する技能職はもちろんですが、生産計画や生産技術、現場スタッフといった技術職の場合、頻繁に現場に出るので危険と隣り合わせであることは意識しなければなりません。むしろ技能職と違って現場慣れしていない分、技術職の方が危なっかしかったりします。
私も造船所で生産計画の仕事をしていて実際に作業をするわけではありませんが、必要があれば高所に上ったり、不安定な場所を歩くといったこともあったりしました。。
大手メーカーで働くメリット
デメリットを多く挙げましたが、デメリットばかりではなくメリットもあるので解説していきます。
そこそこよい給料で安定して働くことができる

「若くして大金を稼ぐ」といった夢はないのですが、やるべきことをしっかりやればそこそこよい給料(日本人の平均的給料よりはずっとよい)で安定して働くことができ、後述の福利厚生(家賃補助やカフェテリア)も考慮すれば、実質的給料はさらに高くなります。
また、働きぶりが悪くても昇進が遅れるだけで基本的にクビになることはありません(働かないおじさん問題といわれています)。
成果主義の組織(例えば、特許事務所など)の場合、働きぶりが悪い人は理由によらず退職勧奨という形でクビになるというプレッシャーがあるのでそういった不健全なプレッシャーがないことはありがたいです。
しっかりと教育や研修が受けられる
大手メーカーは当然ですが、教育体制や研修がしっかりしていて新卒を一から育て上げる環境が整っているので、社会人の基礎から技術まで堅実に身に着けてゆくことができます。
そのため、中小やベンチャー企業と比較すると、いきなり現場に放り込まれて放置されたり成果が出せずに詰められるといったリスクは小さいです。
充実した福利厚生を受けられる
給料は他業界と比べて高いわけではありませんが、充実した福利厚生も魅力です。
家賃補助は特にありがたく、私の経験した例では家賃が7万円だとしたら3万円は家賃補助で賄えるので4万円で住むことができたりします。
さらに、カフェテリアプランという制度を設けている大手メーカーも多く、決められた用途(旅行の宿代やパソコンの購入など様々)につかえるポイントが例えば、年8万円相当付与されるので、少ない自己負担で旅行を楽しんだりできます。
私は大手メーカーから特許事務所に転職したのですが、特許事務所ではこのような福利厚生は一切ないので、月給は上がったのに生活は逆に苦しくなるといった状況になりました。
連休が長い

メーカーでは通常、ゴールデンウィーク、盆休み、正月休みの3つの大きな休暇があります。工場では設備を中途半端に稼動させるのは非効率なので、最低でも9連休、長いときで12連休といった形で休むときはとことん休みます。
一方で特許事務所で働いていたときは、特許庁の閉庁日に合わせて休むので飛び石連休になることが多くメーカーほどまとまった連休は取りづらいです。
チームでものづくりをする達成感

これまで、金銭面や待遇の話ばかりしてきたので、最後は綺麗な話をすると、チームでものづくりをする達成感と味わうというのがメーカーで働く最大の動機なのではないかと思います。
私は造船に関わってきましたが自分が関わった船の進水式や引渡式はやはり格別です。
しかし、これまでみたいに技術者が感じるやりがいに期待して搾取をするのではなく、技術者が正当な待遇や対価を受けられるようにしないと、理系人材が他の業界に流れてゆくのではないかと考えます。
まとめ
大手メーカーで働いていて不満を感じることをあげるときりがないのですが、それでも、給料は日本人の平均的な給料よりもずっと高いですし、充実した福利厚生の恩恵を享受しながら低リスクで安定してキャリアアップしていける点は十分に魅力的です。
したがって、大学や高専を卒業して最初に入社する会社としては悪くない選択肢ではないかと考えます。



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