高専卒業後の進路として大学編入が挙げられますが、「試験勉強」や「編入後の学生生活」、「大学卒業後に就職できるのか」といった不安を感じられている方も多いのではないでしょうか?

大学編入すると後悔するって本当ですか?

大学編入のリアルを体験談で解説します!
この記事では、高専卒社会人から同級生よりも2年遅れで大学編入し、しかも、電気系から機械系へ転科した私の体験談に基づいて大学編入のリアルとメリットを解説していきます。
大学編入はずるい?大学編入の難易度
高専から大学工学部に3年次編入するケースですと、以下のような出題範囲であることが多いです。基本的には高専で習う範囲内からの出題となり、出題範囲が高専生に有利な範囲に限られていることから、普通高校から同じ大学に進学するのであれば、高専からの大学編入の方が難易度は低いと言えます。
- 数学(微分積分、微分方程式、線形代数)
- 物理(力学など)
- 専門科目(機械系なら流体、材料、電気系なら電気回路、電磁気学など)
- 英語(TOEICのスコア提出の場合が多い)
そのため、「高専からの大学編入はずるい」と言われがちですが、高専生は中学卒業時点で技術系以外の進路を捨てるというリスクを背負って技術系に特化した勉強をしてテストやレポートに追われる生活をしているので、それに対する対価だと考えれば一概にずるいとも言えないかと思います。
ちなみに、私が編入した国立大学の学科では、以下のように出題されました。
- 口頭試問(力学)
- TOEICのスコア
- 面接(志望動機など)

しかし、普通高校からの大学進学に対して相対的に簡単というだけで、編入試験で問われる専門知識のレベルは高く、受験者も高専の成績上位層が多いため、決して油断はできません。
普段から大学編入を見据えて勉強に取り組むことは大事ですし、春休み以降は勉強付けの日々が続きます。
私の場合ですと、約8カ月間働きながら編入試験の勉強して少なくとも630時間は勉強しました。
推薦で受験するには?成績悪いけど大丈夫?大学編入試験の受験方法
高専から大学編入する場合、大きく分けて推薦編入と一般編入という2つの方法があります。私は、社会人からの編入かつ高専での成績が40人中20番前後と振るわなかったので一般編入しかありませんが、成績上位であれば推薦編入という方法も取り得ます。
推薦編入
推薦編入では、成績や推薦書の内容が重視され、試験は面接のみといったように成績上位者に有利な編入方法となります。成績要件は大学によって異なりますが、
私の同級生(成績順位学科1位)が進学した国立大学のケースですと、成績順位が学科内で上位15%以内(40人中6位以内)の要件が課されていることから、要件は厳しめです。
一般編入
一般編入では、試験本番での筆記試験や口頭試問の結果が重視されます。したがって、成績下位層でも試験本番の出来によって一発逆転が可能です。とはいえ、学業成績証明書も提出するケースも多いので決して普段のテストやレポートを疎かにしてはいけませんし、成績上位者の方が基礎知識がしっかりできているので勉強面でも有利となります。
私の同級生も成績順位が40人中35番以降であるにも関わらず春休みの試験勉強をガチることで、国立大学2つに合格するという結果を残していますし、私も成績順位20番でしたが、必死で勉強して面接内容を作り込んだおかげで第一志望の国立大学に合格を果たすことができました。

大学編入で後悔?大学編入の不安にお答えします
大学編入に対して、「後悔」や「やめとけ」という言葉も散見されます。実際にどうなのか、高専卒就職と大学院からの就職との両方を経験した私が解説します。
大学編入すると就職し難くなるのは本当?
高専からの就職活動の流れは、企業が高専に求人票を送り、学生はそれらの求人票の中から行きたい会社を一社選んで学校推薦で選考を受験、落ちたら残っている求人からまた一社選んで受験という「一人一社制」で進んでいきます。高専生が欲しい企業と高い就職率を維持したい高専との利害が一致しており、選考通過率も非常に高いと言えます。
一方で、大学工学部や大学院工学研究科においても学校推薦という制度は存在しており、高専同様に学校推薦で応募すると選考通過率が高くなるため、大学編入すると就職しづらくなると感じたことはありませんでした。
実際に私は同級生より2年遅れで大学編入して大学院修士課程まで進みましたが、大手機械メーカーに新卒で採用されました(しかも学校推薦ではなく自由応募)。
単位認定は大丈夫?大学編入して無事に卒業できる?
私は、高専時代の学科が電気電子工学科で、大学編入においては機械系学科に編入しましたが、留年することなく成績上位で卒業することができました。
大学編入後の忙しさを左右するのが「単位認定」の結果です。
単位認定とは、大学で取得しなければならない単位の中で、高専時に取得した単位の中に相当するものがある場合は、当該単位を取得しているものと認める制度です。
私のケースですと、大学の機械系学科で2年次に取得しなければならない流体力学や材料力学の機械系科目については、当然、卒業した高専の電気電子工学科に相当する科目はないですし、第2外国語に相当する科目もないので、それらの科目は1、2年生と一緒に授業を受けて単位を取得することになりました。そのため、大学3年生にしてはそこそこ忙しかったのですが、新しい知識を勉強することは刺激に満ちて楽しかったです。
大学3年次は1、2年次よりも授業数が減ってかなり暇になりますので、高専時代の学科と同じ系統の学科を選んで大学編入すると、退屈するくらい暇になると思います。
また、私が編入した大学で同じ高専出身の編入生の先輩がいましたが、彼も高専の制御情報工学科から機械系学科に編入して無事卒業して大手自動車メーカーに就職していました。
したがって、大学編入後に無事に卒業できるかについて心配する必要はほとんどありません。
大学編入して卒業するまでの費用はどれくらいかかる?
大学編入において一番の問題となるのが学費や生活費といった費用の話です。
地方国立大学に編入して一人暮らしした私のケースを挙げますと、2010年代の物価で編入から学部卒業まで約300万円、大学院修士課程修了までに追加で約200万円かかりました。現在では物価高の影響でそれよりも費用がかかると思います。
一方で、あくまで平均値での話になりますが高専卒と大卒以とで生涯賃金に1600万円もの差がある(出典は下記リンク先)ことを考えると、この投資は十二分に回収できるのではないかと思います。
| 高専・短大卒 | 約2.95億円 |
| 大学卒 | 約3.11億円 |
生涯年収の平均はどれくらい?将来への備えはどれくらい必要なの?|ほくぎんマネーのツボ|北陸銀行
高専から大学編入するメリット
高専からの大学編入にはそれなりの費用が掛かりますが、かけた費用以上に様々なメリットがあるのでそこを紹介していきます。
大企業において総合職や研究開発職への道が開ける
大手メーカーのような大企業においては、大学・大学院卒を総合職、高専・高卒その他を現業職として位置付けているケースが多いです。実際に私が高専卒で就職した大手メーカーもこのような組織体制でした。
総合職の場合、ジョブローテーションや異動などによって、仕事の幅を広げたりキャリアアップのチャンスが自然と巡ってきますが、現業職の場合はずっと同じ工場、同じ部署で同じ仕事を続けていくことになります。
研究開発職においても、大学院修士修了以上を要件としているケースもあり、高専卒ではそもそも配属されないか院卒の補助者として位置付けられがちです。

実際に私が直面した大卒との差の体験談です。
大卒以上を対象とした求人に堂々と応募できる
転職活動においても、募集要項に大卒以上と書かれている求人も多いです。高専の知名度が低いこともあって高専卒の扱いについて明記されていないこともしばしばあります。
募集要項に大卒以上と書かれている求人に高専卒が応募しても選考を通過するケースも実際にあるのですが、そこはケースバイケースとなります。
大学編入して大卒以上の資格を持っていれば、大卒以上を対象とした求人に堂々と応募することができます。

この先の人生で学歴コンプレックスを感じることがなくなる
いくら「学歴は関係ない」という建前であっても、まだまだ日本(特にJTCと呼ばれる大手メーカー)は学歴社会が色濃く残っていますし、就職や結婚といったライフイベントにおいても学歴は一生ついて回ります。
実際に、マッチングアプリや婚活においても、経歴として学歴は記載しなければなりませんし、学歴もスペックの一部として評価されます(男性の場合は特に顕著)。
このように、高専卒で社会に出ると長い人生での中で学歴で引け目を感じたり「大学に行っておけばよかった」と後悔したり学歴コンプレックスを感じる場面が必ず出てきます。特に高専卒の場合は努力や能力の割に学歴面で低く評価されがちなのでその悩みは一層強くなりがちです。
大学編入して大学を卒業することで、「この先の人生で学歴を気にすることがなくなる」という精神的なメリットには大きな意味があります。
より深く、より幅広い知識や経験が得られる
大学では高専以上にキャンパスの施設や実験設備が充実しており、教授陣の層も厚いです。
各研究分野の権威である教授陣から指導を受けながら充実した環境を活かしてより高度な内容の研究に打ち込むことができます。

私が学んだ造船系の学科について紹介しています!
また、私のように総合大学に編入した場合、一般教養科目や第2外国語の単位を取らないといけなかったので、それをきっかけに理系専門科目以外まで知識や経験の幅を広げることができました。
社会人になるまでの時間的な猶予を得ることができる
大学工学部においても授業やレポート、定期テストなどでそれなりに忙しくはあります。
しかし、編入学する3年次にもなると授業数は少なくなり、夏休みと春休みは、それぞれ約2か月もあることから自由に使える時間が高専よりも圧倒的に多いです。
社会人になるまで少なくとも2年間の時間的猶予が得られるため、自由な時間を活用して勉強や研究以外の活動に取り組みながら、大学卒業後の進路についてじっくりと考えることができます。

まとめ
以上のことから、経済的な事情や特別な事情がない限り、高専卒業後は大学編入して大卒資格を得ておくこと勧めています。
高専卒の待遇を改善する企業も出てきてはいますが、現状では高専で得た知識や経験に見合う待遇を受けるには大学編入が最適な選択肢であるという結論となります。






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