知財転職完全ガイド|未経験から企業知財部・特許事務所へ転職する方法

企業知財部や特許事務所で知的財産に携わる知財職は理系出身者が多く、技術職でありながら都会勤務やリモートワークと相性がよく、さらに知財はどの業界でも使える専門性の高いスキルとなるので、自由な働き方や高い専門性の習得を目指すエンジニアにおすすめの業界です。

しかし、知財のスキル習得には多くの実務経験や業務外での自己研鑽も必要であり、特に企業知財部の求人は経験者向けのものが多く、未経験からの転職ハードルは高めです。

この記事では、開発や設計といった非知財職から知財業界へ転職したいエンジニアのために転職とキャリア形成のポイントを解説していきます。

知財業界とは?

知財業界に属する主な団体を挙げると下表の通りです。その中でも企業知財部と特許事務所が代表的な就職・転職先となります。

団体主な仕事内容必要なスキル関連資格
企業知財部自社の知的財産の保護や活用といった知財戦略を策定・実行する・自社の事業や技術への理解
・知財制度に関する知識
・知的財産管理技能検定
・知的財産アナリスト
特許事務所企業などから依頼を受けて特許庁への手続きの代理を行う・知財制度に関する知識
・書類作成能力
・弁理士
調査会社企業や特許庁などから依頼を受けて特許調査を行う・調査スキル
・AIスキル
・特許検索競技大会
特許庁出願された特許等の審査を行う・知財制度に関する知識
・審査スキル
・国家公務員総合職試験

知財職の仕事内容

知財職の仕事内容については、所属する団体で異なりますが、企業知財部、特許事務所、調査会社の代表的な業務について以下の記事で解説しています。

知財業界の年収(30代の場合)

気になるのは知財業界での年収です。

基本的には日本人の平均値よりは高いのですが、職種によって性質がことなるので注意が必要です。

大手企業知財部の場合、知財部だから特別に高いというわけでわなく他の技術職と同じ水準となります。しかし、大手企業なだけあって年収は高めで、年功序列によって確実な昇給が望めます。

一方で特許事務所では、処理した案件数に応じて給与が支払われる歩合制となるため、上と下との差が激しく1000万円を超える人もいれば、最低限の給与(下限は400万円程度)しか支払われない人もいます。

弁理士資格を持っているから年収が上がるのではなく、弁理士資格を持った結果、自分の意思や裁量で多くの仕事を回せるようになって年収が上がるというのが正しいです。

そのため、弁理士資格を持っていても案件をこなせなければ最低限の給与しか支払われず、立場も危うくなります。

職種年収例福利厚生
大手企業知財部約700万円家賃補助、カフェテリアプランが充実
弁理士(特許事務所)約400万円~1000万円通勤手当など必要最小限
特許技術者(特許事務所の弁理士補助者)約400万円通勤手当など必要最小限

未経験から知財業界へ転職する方法

ここでは、知財未経験から知財業界へ転職する方法について解説します。

未経験からの転職は決して簡単ではありません。

企業知財部は未経験者を採用しないケースが多いですし、特許事務所は企業知財部よりも比較的未経験者に寛容であるものの、入った後が大変で業務と業務外で弁理士試験合格を目指す日々が数年続き、自由な時間なんてほとんどなくなります(それもあって人手不足です)。

そのため、工夫と努力が必要になるのですが、それらを乗り越えてはじめて知財業界のメリットを享受できるので当サイトを参考に頑張りましょう。

知財業界への転職のために準備すべきこと

知財未経験とはいえ、全く知財に関わった経験がないと厳しいので、開発や設計の業務をしているのであれば、発明者として特許出願したり、開発部門における知財との窓口業務を行うなど知財との接点を増やすようにしたいところです。

さらに、企業知財部を目指すのであれば、知的財産管理技能検定、特許事務所であれば、最終合格できてないにしても弁理士試験の一次試験(短答式試験)に合格しておくなど資格取得も有効です。

また、最終的に企業知財部で働きたいのであれば、先ずは、未経験者にも広く門戸を開いている特許事務所に転職して、経験を積んだ後、企業知財部に転職するという方法もあります(図らずも私はこのパターンで企業知財部に転職できました)。

転職先の選び方|企業知財部と特許事務所どちらがよい?

企業知財部の場合、大手メーカーの他の技術系職種と風土、文化、制度面での大きな違いはありませんが、特許事務所はかなり特殊な環境ですので注意すべき点が多くあります。

特許事務所への転職を考えている方は以下の記事を参照してデメリットも十分に理解した上で転職活動を進めていただければと思います。

知財業界向けおすすめ転職サイト

知財業界(特に特許事務所)は特殊な専門職なので、士業(弁理士)専門であったりハイクラス向けの転職サイトと相性がよいです。知財転職に特化したおすすめ転職サイトをまとめていますので参考にしてください。

知財業界の求人を探すにあたっておすすめの転職サイトはリーガルジョブボードです。私も登録して企業知財の求人探しに活用したので、ぜひ登録して求人情報を探してみましょう。

自己分析・職務経歴書

自己分析と職務経歴書については、企業知財部だろうと特許事務所だろうと技術系の転職と基本的には変わらないのですが、未経験からの転職になるので、自身の職歴に基づいて知財業界で求められる「技術の理解力」があることをしっかりと書くようにしましょう。

筆記試験・SPI対策

企業知財部の場合は面接の参考資料としてSPIを受けさせられることがほとんどです。能力検査において高得点を取るために時間を使いすぎるべきではありませんが、得点があまりに低いと悪目立ちするので最低限の対策はしておきましょう。

一方で、特許事務所の場合、SPIに代えて独自の筆記試験を課すことが多いです。例えば、仮想事例を基に特許請求の範囲を書かせたり、文章表現力をみるために小論文を書かせたりといった試験になります。

これらは、知財が専門でない技術者が通常持っておくべき特許の基礎知識があれば十分なので技術者向け入門書に目を通しておきましょう。

面接対策

面接については一般的な技術者の転職と大きく変わることはないのですが、なぜ、「企業知財ではなく特許事務所なのか(特許事務所ではなく企業知財なのか)」は定番の質問になるので、論理的に答えられるようにしておきましょう。

特許事務所特有の選考対策

特許事務所の選考は一般企業と異なる注意点が多いので、別の記事にまとめました。特許事務所の選考を受ける人は一読してください。

弁理士試験に合格する方法

企業知財部にしても特許事務所にしても、弁理士資格を持っていると選考を有利に進めることができます。特に特許事務所は弁理士資格取得が必須なので、弁理士試験に合格しているか或いは合格の見込みがあるかといったことを特に気にしています。

当サイトでは最小限の費用で独学による弁理士試験合格ノウハウを紹介しているので参考にしてください。

まとめ

以上、未経験から企業知財部・特許事務所へ転職する方法について述べました。これまで述べたポイントをまとめると以下の通りとなります。当サイトが知財業界への転職とキャリア形成の成功の一助になれれば幸いです。

知財転職のポイント
  • 今の仕事で知財との接点を増やす
  • 資格によって知財の基礎知識をアピール
  • 特許事務所と企業知財の働き方、選考内容の違いに注意