高専卒業後の進路の選び方を解説|就職と進学どちらがよいか

大学生・高専生のための進路情報

高専4年生になると進路面談のように進路について考えて悩む機会が多くなると思います。

特に高専卒で就職するか大学もしくは専攻科へ進学するかはキャリアの大きな分かれ道です。

この記事では、そんな高専生やその保護者のために、高専生の進路について高専卒での就職と社会人からの大学編入を経験した私なりの考えをまとめます。

高専生
高専生

高専では1人あたり何10社もの求人が来てて大手にも就職し易いし、先生も高専卒は大卒と同等って言ってたから就職でいいんじゃないかな?

キャリ造
キャリ造

ちょっと待って!大手に就職し易いからっていう理由で安易に就職を選ぶと後悔するので、この記事を参考にもう一度進学か就職かじっくり考えてみてください!

この記事はこんな人におすすめ
  • 進路選択を控えた高専4、5年生
  • 高専生の保護者

大企業で総合職として活躍したいなら進学がおすすめ

大企業(特に大手メーカー)でバリバリ働いて出世していきたいのであれば、進学(特に大学編入)がおすすめです。

大企業(特に大手メーカー)の場合、大学・大学院卒と高専・高卒とで採用を分けているケースが多いです。

このような場合、大学・大学院卒社員は将来管理職となることが期待されており、高専・高卒社員は実務者としての役割が期待されています。

キャリアパスも分けられており、前者は全国規模の転勤やジョブローテーションをしながら管理職(総合職)としての能力を高めていき、後者は一つの事業所で特定の業務に従事しながら実務能力を高めていきます。

つまり、入社時の学歴と採用区分で将来のキャリアパスがほぼ決まっていると言えます。

入社後に高専・高卒社員のキャリアパスから大学・大学院卒社員のキャリアパスに乗ることは努力や能力だけではなく余程の幸運がない限り困難です。

キャリ造
キャリ造

私が高専卒で就職して直面した現実をまとめています。

高専4年の後期から頑張って大学編入して、2年(大学院修士課程を含めると4年)大学に行くか行かないかで大企業におけるキャリアパスが大きく変わるので、総合職として活躍したいのなら進学しておくことをお勧めします。

キャリ造
キャリ造

大企業の中でリーダーとして活躍して出世したいのであれば大学編入がおすすめです!

一方で、総合職の場合、全国転勤があることや、責任ある立場のため労働時間が長くなりがちであるというデメリットもあります。

働く目的や経済状況によっては就職という選択肢も

「大企業で総合職として活躍する」という目的では進学一択ですが、総合職の場合、全国転勤や長時間労働といったデメリットもあるため、働く目的によっては就職を選んでもよいと思います。

例えば、

  • 転勤せずに故郷や好きな場所でずっと暮らしたい
  • 残業せずに帰宅してプライベートの時間を充実させたい
  • 早く働いてすぐにお金を稼ぎたい
  • 経済的事情から進学が難しい
  • 実務でしか身に着けることができない特殊な技術や技能を若いうちから習得したい

といった場合は高専卒での就職がよいと思います。

キャリ造
キャリ造

高専からの就職先は多岐にわたるのでこちらの記事を参考にしてください!

キャリ造
キャリ造

独立を目指して早くお金や経験を貯めたり、プライベートを充実させたりなど組織で働くことだけが全てではありません!

また、進学にはまとまったお金が必要です。

家庭の経済状況によっては進学が難しい場合もあるので、働きながらお金を貯めてからやりたいことにチャレンジしてもよいと思います。

キャリ造
キャリ造

私も働いて貯めたお金で進学しました!

しっかりと考えた上で高専卒での就職を選ぶことはよいのですが、かつての私のように、

  • これ以上勉強するのが嫌だから
  • 推薦で大企業に簡単に入れそうだから
  • 周りが就職を選んでいるから

といった感じで「なんとなく就職する」と後で後悔して悩むことになるので情報収集と慎重な選択が必要です。

進学のメリット

将来の仕事の選択肢が広がる

新卒、中途に関わらず企業や団体の募集要項において大卒を応募資格としている募集については、高専卒は原則として応募することはできません。

また、大企業においては、大卒以上を総合職、それ以外を一般職と区別しているケースも多くみられます。

したがって、進学によって大卒以上の学歴を得ることで将来選べる仕事の選択肢を広げることができます。

また、総合職は全国転勤や長時間労働といったデメリットもありますが、大卒であっても会社や採用区分の選択である程度調整することができます。

充実した環境で研究や勉強に打ち込める

大学では高専以上にキャンパスの施設や実験設備が充実しており、教授陣の層も厚いです。

各研究分野の権威である教授陣から指導を受けながら充実した環境を活かしてより高度な内容の研究に打ち込むことができます。

キャリ造
キャリ造

私が進学した大学には、全長約80mの巨大な実験水槽があり、模型船を使った実験を行っていましたが、大学ならではの貴重な経験だったと思います!大学のイメージについては以下の記事を読んでみてください!

社会人になるまでの時間的な猶予を得ることができる

大学工学部においても授業やレポート、定期テストなどでそれなりに忙しくはあります。

しかし、編入学する3年次にもなると授業数は少なくなり、夏休みと春休みは、それぞれ約2か月もあることから自由に使える時間が高専よりも圧倒的に多いです。

社会人になるまで少なくとも2年間の時間的猶予が得られるため、自由な時間を活用して勉強や研究以外の活動に取り組みながら、大学卒業後の進路についてじっくりと考えることができます。

キャリ造
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私の場合は、これらの時間を人力飛行機のサークル活動や企業のインターンシップ、公務員試験への挑戦に活用することでその後の進路選択や就職活動に活かすことができました!

進学のデメリット

お金がかかる

大学への進学には当然お金がかかります。大学に収める入学金や授業料はもちろん、家賃や食費、光熱費など生活するだけでもどんどんお金がなくなっていきます。

キャリ造
キャリ造

進学に必要なお金については、下記の記事にまとめています。

私の経験上、授業料免除や学生寮を活用して支出を抑えたとしても学部を卒業するまでの2年間で300万円弱を使いました。

ちなみに、そのお金は高専卒で就職して2年間働いて貯めたお金だったので、高専卒で就職して働いていれば2年で300万円近く貯めることだってできます。

大学に編入すると就職し難くなるというのは本当?

よく「大学編入すると高専卒で就職するよりも就職が難しくなる」と言われています。

たしかに高専からの就職の方が簡単なのかもしれませんが、これには以下のような理由があります。

  • 一人一社制や学校推薦といった制度によって学校任せの就職活動でも就職できてしまう
  • 高専卒は能力の割に給料を安く抑えられるので企業も採用したい

就職自体は簡単だとしても、一人一社制の弊害にである入社後のミスマッチで短期離職してしまったり、大学・大学院卒の総合職に対してキャリアにおけるハンデを抱えてしまうリスクがあります。

さらにいえば、高専から大学編入したとしても、高専から編入するレベルの大学(多くが国立大工学部)の場合、そもそも企業からの需要が十分にあり、高専出身であることも大きなアドバンテージとなるので、就職に困るということはまずないと思います。

キャリ造
キャリ造

大学での就職活動においても学校推薦で苦労することなく内定を貰う学生がほとんどでした。

まとめ

以上のことから、お金がかかることを除けば、大学進学によって得られるメリットは数多くあります。

逆に、就職して早く働くメリットはすぐにお金を稼ぐことができることを除いてはっきりと挙げることはできませんでした。

高専卒で就職すると学歴や採用区分でハンデを抱えることになり、大手メーカーのような大きな組織で働き続ける限りそれを跳ね返すことは大変難しいことです。

高専卒が大卒に打ち勝つには、実力主義のベンチャーであったり、独立してフリーランスとして働いたり、起業して成功するしかありませんが、このようなことができるレベルの人はほんの一握りです。さらに、起業などは大学生として学びながらでもできます。

以上のことから、私は高専卒業後の進路として大学編入を勧めます。

これは、実践的技術者の養成を掲げる高専の趣旨と反することなので、高専の教員などはあまり大きな声で言えないことです。

残念ながら、高専は社会からあまり理解されておらず、高専で身に着けた能力に対して企業等からふさわしい待遇を得るには大学編入して大卒以上になるのが一番楽で確実なのです。

この記事を書いた人
キャリ造

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高専卒社会人から大学編入して船舶工学を学び日本船舶海洋工学会奨学褒賞を受賞しました。造船・重機メーカー3社、特許事務所を経験し弁理士試験に合格、現在は知的財産の仕事をしています。それらの経験から高専卒業生や知財業界志望者から相談を受けることもあり、エンジニアのキャリアに関する情報発信を始めました。

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