短答試験の自己採点の結果、合格の確信がある、もしくは、合格の可能性がある場合、短答式試験から約40日で論文試験に挑むことになります。
この記事では、私の論文式試験の合格経験からエッセンスを抽出して、約40日で論文試験と戦うためにやるべきことをまとめます。

短答試験は合格できたみたいです!でも、論文は全く手をつけておらず、何をすればいいのかさっぱりわかりません…。

私は、1年かけて論文試験に合格できるレベルに仕上げましたが、今回は約40日しかないのでエッセンスに絞ってを紹介します!
論文試験までにやるべきことリスト
論文試験までにやるべきことを順番にリストアップしました。かけるべき時間の比率も併記していますのでスピーディーに進めていきましょう。
ポイントとしては、短答試験直後で暗記事項や知識の引き出しが十分にあり、試験中に試験用法文を参照できるので、とにかく手と頭を動かしてアウトプット中心の勉強をすることが大事だと思います。
- 論文の作法と暗記事項の確認(10%)
- 過去問の写経(10%)
- 答案構成と部分書きの訓練(50%)
- 全文書きの訓練と模試(30%)

論文の作法と暗記事項の確認
論文といっても、学術論文とは異なります。弁理士試験における論文には独特な作法がありますので論文式試験の勉強を始めるにあたっては、論文の作法を資格予備校のテキストや参考書で確認します。

私は特に下記が重要だと思います!
- いきなり書き始めずに答案構成をしっかりする
- 法的三段論法に沿って書く
- 聞かれていることに端的に答え、余計なことは書かない
- 問題文をよく読んで地雷を踏まない
いきなり書き始めずに答案構成をしっかりする
論文の勉強をある程度進めた方にとっては当たり前のことなのですが、答案用紙にいきなり書き始めるのではなく、問題用紙に白紙が添付されているので、その白紙を答案の設計図にあたる答案構成を行います。

答案構成で論文の良し悪しが決まるので重要な作業です!
時系列や登場者を図で整理しながら何を書くのか体系的にメモ書きしていきます。
答案構成にかけられる時間が多くて大問(特実2問、意匠1問、商標1問)1つあたり25分なので、それ以内に答案構成ができるように訓練しましょう。
問題に対して正しい結論を導くプロセスは短答試験に似た部分があるので短答試験からそのまま論文に進まれる方の方が有利です。
法的三段論法に沿って書く
弁理士試験は法律の試験なので論文の書き方も法的三段論法に沿って書きます。
そうすることで、論理的かつわかりやすい解答となり、採点者にも「この人は法的三段論法に沿って論理的に書いている」と印象づけることができます。
極端に言えば、時間内に書ききれなかった枝葉の部分があったとしても、この幹の部分がしっかりと構成されていれば、十分に点を取ることができると思います。
- 規範定立
- 当てはめ
- 結論
法的三段論法に沿った説明の前に先ず答案構成で出した結論を書いてしまいます。
結論を先に書くことは「聞かれていることに端的に答えている」印象となり、好印象ですし、この結論がひとまず点になります。
規範定立では、解答の根拠になる条文をできるだけそのまま記載します。条文に書いてあることは間違いないことなので正しい条文が引用できていれば点になります。
当てはめでは、問題文の事例を条文に当てはめながら、条文の主体や客体と問題文の主体や客体の対応関係を記載していきます。
結論では、これまで論じた内容から結論を改めて記載します。
暗記事項は基本的には短答の知識+試験法文でカバーできますが、判例については知らないと書きようがないので主要判例を確認しておきましょう。
聞かれていることに端的に答え、余計なことは書かない
「聞かれていることに端的に答える(余計なことは書かない)」ことは重要です。
そして、それを満たしている論文は、読み物としては味気ない印象になりますがそれでよいのです。
聞かれていもいない余計なことを書いても意味がないか、減点されるか、その記載に時間をとられて他の記載が疎かになるだけで百害あって一利なしです。
分量としては1問題あたりA3用紙1.5枚分書けば十分です。私はそれで合格できました。
問題文をよく読んで地雷を踏まない
問題文の最後の方に「問題文に記載されていないことをあえて仮定して論じる必要なない」といったことが記載されているので見落とさないように注意しましょう。
これが地雷で、見落として書いてしまうと一発で致命傷になるリスクがあるので要注意です。
過去問の写経
論文の作法を身に着けるにはやはり手を動かして実際に書いてみるのが一番です。
いきなり白紙の答案用紙を前に途方に暮れるよりは、過去問集の答案構成や模範答案をざっと写経してみます。
論文の作法や流れが掴めれば十分なのでここに時間をかけ過ぎないように注意しましょう。
ちなみに、模範答案の文章量を実際の試験で書くことはほとんど無理です。もっと簡素な答案しか書けませんが、それでも十分合格することができます。
答案構成と部分書きの訓練
論文の書き方を掴めたところで、実際に論文を書く訓練を行っていきます。いきなり、全文書き(本番同様にA3用紙2枚分書く)はハードルが高いので下記のように段階的に行っていくとよいです。
- 答案構成のみの訓練:時間が掛からないのでハードルが低く、先ずはここから。
- 部分書きの訓練:全文書きよりもハードルが低く、時間対効果が高い。
- 全文書きの訓練:本番同様の条件に慣れる。
部分書きでは、過去問の大問題を小問題に小分けにして時間を計りながら書いてみます。
そして、小問題を1問書いたらすぐに模範答案を読んで自分の答案との違いを確認して次に活かします。
実際に手を動かすスポーツのようなものなのでやればやるだけ解答(手書き)スピードも速くなります。
ここで、使う法文集は四法対照ではなく、試験時に貸与される法文集に近い構成のものを使いましょう。合格者の知り合いやフリマサイト、オークションサイトで本物の法文集を入手するのがベストです。
このステップでは、過去問の内容は時間内に当たり前に書けるという状態まで持っていきます。ボールペンを何本も空にして答案用紙が山のように積みあがるつらい道のりですが頑張るしかありません。
全文書きの訓練と模試
また、本番が近づくにつれて全文書きをして本番に近い状況にも慣れておきましょう。
また、値は張りますが、約40日で短期決戦になるので資格予備校の答練を受けておくとよいと思います。
まとめ
短答試験対策で培った知識をつかって正しい結論を導くように答案構成をして、試験法文を参照して規範定立して、当てはめ、結論と書いていけば答案になります。
短期決戦でつらいですが、できるだけのことをして短答突破の勢いを論文で発揮されることを願います。
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