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孫子兵法は古代中国の春秋戦国時代に呉の軍師として活躍した孫武という武将が説いた兵法です。
その内容が優れていることから多くの武将が愛読して現在に伝わっています。
特に、三国時代において最大勢力である魏の礎を築いた曹操が孫子兵法に自分の見解を付け加えたものをまとめ、それが現在において書籍として伝わっているものになります。


孫武を知らなくても曹操を知っている人は多いのではないでしょうか。
もともとは戦の準備や戦い方をまとめたものですが、近代戦、さらに言えばビジネスにおいても応用できるところが多く、現在ではビジネス書という形で多くの書籍が出版されています。
私は三国志のファンであると共にそれをきっかけに中国古典を読むことも趣味であるため、「仕事の進め方に対する孫子兵法の応用」というテーマで解説していきます。
- 兵は国の大事なり
- 兵は拙速を聞く
- 智将は敵に食む
- 百戦百勝は善の善なるものにあらず
- 彼を知り己を知れば百戦危うからず
- 勝ち易きに勝つ
- 勢いの力
兵は国の大事なり
孫子兵法はここから始まります。
簡単に言うと戦は国の存亡がかかった一大事であるので慎重に決断すべきという教えです。
孫武の時代より昔の戦は、貴族同士が馬車に乗って戦って勝敗を決める決闘のようなものでした。
しかし、孫武の時代になると、国民全員を動員して一方を滅ぼすまで血みどろの総力戦を繰り広げる戦になります。
そのような時代背景もあり、孫武は戦に対して慎重になるように説いています。
キャリアをどうするかも人生の大事と言えますので気を引き締めて考えましょう。

転職をきっかけにキャリアを滅ぼしかけたこともあります…。
兵は拙速を聞く
簡単に言うと、戦は技巧を凝らして長引かせるよりも、早く決着をつけるべきという教えです。
戦が長引けば長引くほど、大量の物資の補給が必要になったり軍の士気が低下していき、さらに、消耗しきったところを第三者に攻め込まれる可能性があるためです。
仕事における応用例としては、
- 提出物は60点の完成度でも早く報告してフィードバックを貰う。
- 時間や締め切りを決めてダラダラせずに集中してタスクやプロジェクトを進める。
といった形でスピードを意識しながら個人の仕事に落とし込んでいきましょう。

今日からすぐにでも使えそうです!

現在の仕事においても「スピード感」と言われていますが、孫武の時代からそれは変わっていないようです。
智将は敵に食む
簡単にいうと、食料や武器を後方の本国から輸送するよりも極力現地で調達すべきという教えです。
昔から、補給路の維持は軍にとって負担であり、敵にとっても格好の標的で狙われやすいので、補給路そのものをなくしてしまおうということです。
特に、「敵の一鐘を食むは、わが二十鐘に当たる」という文言は秀逸です。
つまり、現地で調達したものは、遠路からはるばる運んだ同じものの二十倍の価値があるということです。

必要なものを現地や外から調達できないか考えてみましょう!

仕事における応用例としては、
- 遠方で使う機材の輸送にお金と労力をかけるのではなく、現地で買えるものは現地で買ってしまう。
- 自分で調べたり勉強することに時間をかけ過ぎるよりも詳しい人に聞いてしまう。
といった形で個人の仕事に落とし込んでいきましょう。
百戦百勝は善の善なるものにあらず
有名な文言で、簡単にいうと、例え百戦百勝したとしても、消耗したところを第三者に襲われたり、負けた相手に恨まれて思わぬところで復讐に遭う危険があります。
そこで、戦わずに自分の陣営に取り込んだり、相手の意図を挫いたりするのがよいという教えです。

論破することは後々痛いしっぺ返しが待っています。

仕事における応用例としては、
- 相手を論破して言い負かすことを避ける。
- 論破する代わりに相手を説得して味方とする。
といった形で個人の仕事に落とし込んでいきましょう。
彼を知り己を知れば百戦危うからず
これも有名な文言で、もう少し詳しく説明すると、自分を知り相手を知らなければ勝率は五分五分、自分を知り相手を知れば勝算が高く、自分も相手も知らなければ戦う度に危ういという教えです。
いきなり相手を知ることは難しいですが、まずは己を知ることから始めるとよいと思います。

己を知るだけでも上手くゆく可能性が高まります。

仕事における応用例としては、
- キャリアやスキルの棚卸しといった自己分析(己を知る)。
- 資格試験における過去問分析(彼を知る)。
- 外部(企業や他人)の情報収集(彼を知る)。
といった形で個人の仕事に落とし込んでいきましょう。
孫子兵法の別の個所で解説されていますが、戦の勝敗を決する「知ること(情報収集)」にお金や労力を惜しんではいけません。
勝ち易きに勝つ
簡単に言うと、周りから「すごい」と称賛される勝ち方はよい勝ち方ではなく、周りから褒められない地味な勝ち方がよいという教えです。
仕事で例えるなら、
- 会社に大きな損害を与えかねないトラブルが起こるたびに個人の手腕で見事解決してみせる社員A
- トラブルが起こらないようにシステムや仕組みの見直しと改善をした社員B
のどちらが優れているかということです。
トラブルに勇猛果敢に立ち向かう社員Aの方が目立つので評価されがちなのですが、このようなトラブルが繰り返し起こること自体がこの会社の本質的な問題といえます。

孫武の考え方では、猛将のようにスタンドプレーをする社員Aよりも、本質的な問題を解決した社員Bこそ目立たないものの評価されるべきなのです。
勢いの力
普通に流れている水は大したことがありませんが、洪水のように勢いがつくと巨岩をも押し流すように、軍においても勢いの力が重要であるという教えです。

仕事における応用例としては、
- まずは簡単に済む小さな仕事を片付けて勢いをつける。
- 資格試験に合格した勢いと勉強習慣が失われないうちに次の資格に挑戦する。
- 小さな成功体験を積み重ねて勝ちぐせをつける。
といった形で成功体験を積み重ねることを意識しながら個人の仕事に落とし込んでいきましょう。

これも今日からすぐにでも使えそうです!
まとめ
まだまだ、書けることは沢山あるのですが、今回はこのくらいにしておきます。
古代中国の戦のバイブルなのですが、現代ビジネスにおいて言われていることと共通点が多いことが興味深いです。
書店にいくとわかりやすいように漫画で解説したり、ビジネスに置き換えて解説した本も多くありますが、下記のテキストで一度原文そのまま(日本語訳)を読んでみると全体像が理解できてよいかと思います。
ビジネスへの応用を解説したものではこちらがおすすめです。
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