【副業】商品アイデアの売り込みで商品化を実現するポイントを知財部員が解説!

エンジニアの副業

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

テレビ番組で主婦や中学生がアイデア商品を発明して特許を取得して起業したという話題を聞いて商品アイデアを考えて起業したり収入を得たいと思う方も多いのではないでしょうか。

アイデア商品を考えたので100均に商品化してもらってお金を貰いたいです!

キャリ造
キャリ造

夢があってよいのですが実現するとなると結構大変です。

この記事ではそんな夢を具現化するための手順を紹介していきます。楽してお金儲けできるものではなく苦労や初期費用を伴いますがそれを乗り越えて夢を実現させてみましょう!

商品アイデアを売って収入を得る仕組み

商品アイデアを売って収入を得るまでには、以下のようなステップを乗り越える必要があります。専門用語も出てきて戸惑うかと思いますが後ほど詳しく解説します。

  • ビジネスとして成立する商品アイデアを考える
  • アイデアを特許権や意匠権として権利化する
  • 企業に売り込むなどして権利の売却先、ライセンス先を見つける
  • 売却やライセンスの条件を協議して契約する

このようにして企業から支払いをうけることで収入を得るという仕組みです。

商品アイデアの考え方

まずは商品アイデアがないと話になりませんので商品アイデアを考えてみましょう。

アイデアは出そうと思ってすぐ出てくるものではありませんが、以下のポイントを意識して日常生活にアンテナを張り巡らせるといいアイデアが出やすいかと思います。

先ず意識したいのは、「自分が売りたい・作りたいもの」ではなく、「多くの人が欲しい・買いたいと思うもの」を考えることが重要です。

そして、多くの人が欲しい・買いたいと思うアイデアは、「日常生活でよく感じる不便・困りごとを解決するアイデア」になると思います。

キャリ造
キャリ造

私が最初に考えた以下のアイデアはビジネスとしては微妙です…。

私の場合は、趣味でラジコンカーをしていたので「ラジコンのボディーと車体を固定する留め具」のアイデアを考えようとしました。何の話かさっぱり分からない方も多いと思いますが、その通りラジコンカーをしている人がそもそも社会では少数派なので需要が見込めないと考え直しました。

日常の困りごとから考えてみる

まずは、「日常の困りごと」をリストアップします。困りごとの場面は料理や洗濯などの家事や旅行中など色々ありますが、場面を絞るとアイデアが出しやすいかと思います。

例えば、私は車を持っているので「車に関する困りごと」をリストアップしてみました。その中からアイデアが思いつきそうで皆が困っていそうなものを選びます。

  • 夏場にドリンクホルダーに置いている飲み物がすぐにぬるくなる
  • 青空駐車なので鳥にフンをされる
  • 車内のスキマに入り込んだ埃の掃除が大変
  • ボディに虫の死骸が大量について取れない
  • シートの座り心地が悪い

ここでは、「青空駐車なので鳥にフンをされる」問題を解決することを目指します。

鳥のフンは皆が困っていることなのでいい商品ができれば売れる商品になりそうです。

アイデアを出してみる

そこで、自在に曲げることができて車内のどこにでも装着することができて荷物をぶら下げられるフックに蛇の模様をつけることで鳥が怖がって近づかないようにする商品を考えました。

既存のもの(自在に曲げられるフック)に別の機能(鳥よけ)を付与するというアプローチはアイデア出しで有効な方法です。

キャリ造
キャリ造

人からみてもちょっと怖いので売れるか微妙ですが、仮想事例なのでよしとします…。

今回はこのアイデアを売り出してみます。

試作品を作って検証してみる

この状態で企業に売り込んでも、本当に商品化できるのか(安価に製造できるのか)、本当に効果があるのかわからないものは相手にされません。さらに、効果の裏付けがあると特許出願の審査でも有利になります。

そこで試作品を作って検証してその結果をまとめる必要があります。

今回の例の場合ですと、蛇のおもちゃと針金があれば試作品は簡単に作れそうです。そして、試作品を自分の車の車内に取り付けた状態と取り付けない状態とで鳥のフンの被害を比較してみるといった検証が考えられます。

効果の裏付けとなるデータを十分に取って、それを企業の担当者が一目見ればわかるようにまとめる必要があります。商品アイデアの提案では「企業の担当者は忙しくて提案一つ一つを細かく見る暇はない」ということを常に意識する必要があります。

アイデアを公開する前に権利化する

アイデアが固まったら「早速SNSに投稿して売り込みたい!」と思うところですが、その前に特許や意匠権として権利化する必要があります。

原則としてアイデアを権利化する前に公開してしまうとそのアイデアは既に公開されたもので新規性がないとして権利化ができなくなってしまいます。そして権利がないため、公開されたアイデアを他人がパクっても何も文句をいうことができなくなってしまいます。

何も権利を持っていない状態で企業に売り込んでも相手にされないか、仮にアイデアが採用されてもなんら収入を得られないといった状況になります。

特にアイデアを権利化する方法として代表的なものに特許権と意匠権がありますので簡単に紹介しておきます。難しいのでここでは「こんな権利があるんだな」くらいの理解でよいです。

特許権による権利化の検討

先ず特許権による権利化について考えてみます。特許権は以下のような特徴があります。今回の事例ですと蛇の模様を文章で表現するのが難しいので、意匠権による権利化を検討します。

特許権の特徴
  • 技術的思想の創作である発明を保護するもの。
  • 権利内容を文章で表現するため、構造、プログラム、方法といった様々なものを権利化できる。
  • 複雑な形状を文章で表現するのは難しく権利に抜け道が生じることもある。

意匠権による権利化の検討

次に意匠権による権利化について考えてみます。意匠権は以下のような特徴があります。今回の事例ですと蛇を模したデザインを保護したいので意匠権は最も適していそうです。

意匠権の特徴
  • 物品等の形状や模様といったデザインを保護するもの。
  • 権利内容を図面で表現するため、形状がはっきりしたものしか権利化できないが、複雑な形状でも権利内容をはっきりさせることができる。
  • 権利範囲はその形状そのものだけではなく類似する範囲にも及ぶ。
  • 権利化や維持費用が安価。

似たような特許や意匠がないか調査

もしかすると既に同じようなアイデアを他の人が権利化しているかもしれないので調査しておくことがおすすめです。

しかし、調査を自分でやるのは簡単ではないので多くの場合は特許事務所に調査も依頼することになると思います。

出願の手続きは特許事務所の弁理士に依頼

特許や意匠の出願書類の作成や手続きはかなり複雑で、素人がまともな書類を作って手続きすることは不可能に近いです。

そこで特許事務所の弁理士に依頼して手続きしてもらうのですが、特許の場合で権利化まですると合計で40万~50万円程度かかるので個人にとってはかなり高額です。

企業に売り込むなどして権利の売却先、ライセンス先を見つける

特許出願が完了したら、権利を買い取ったり、有償ライセンスを受けたいという企業を探さなければなりません。

ここで、どの企業も興味を示さなければ高額な費用を払って出願した特許や意匠が宝の持ち腐れとなってしまいます。

ダイソーやニトリなどの雑貨を扱う企業への売り込み

ダイソーやニトリのような有名企業への売り込みが真っ先に考えられますが、現状、ダイソーもニトリもそのような売り込みの受け付けは行っていないようです。

考えてみれば、優秀な社員を多数抱えているので外部の個人に頼らなくても商品開発できるので個人発明家に頼る必要性は低いからだと思われます。

アイデアの募集・コンテストに応募

さすがに超大手企業のアイデア募集は少ないのですがネットで検索してみるとアイデア募集をしている企業はいくつかあるので調べて応募するチャンスはあります。

売却やライセンスの条件を協議して契約する

めでたくアイデアの採用が決まったら条件を交渉して契約します。

普段、サービスを購入したり家を借りたりする場面でも契約書に押印させられることがあるかと思いますが、あまり内容を読まずに印鑑を押しがちです。

ここで普段の契約書のように内容を深く読まずに契約書に押印してしまって契約を結ぶと相手に都合のよい条件ばかり押し付けられ不利益を被るおそれがあります。

ここでも契約に詳しい弁理士などの専門家によるチェックしてもらう必要があります。

まとめ

商品アイデアを売って収入を得るためには、単にアイデアをまとめるだけではなく、権利取得、契約関係など専門的な知識が求められ、それを自分で全て行うことは現実的ではありません。

したがって外部の専門家を頼ることが不可欠でそこにはかなりの費用がかかります。

個人がアイデア商品を考えて企業に売り込んでビジネスにするのは、想像以上にハードルが高いと思います。

キャリ造
キャリ造

発明を副業にしたい方には以下の本がおすすめです!

この記事を書いた人
キャリ造

社会人の転職や大学進学、資格取得に役立つ情報を発信しています!
高専卒社会人から大学編入して船舶工学を学び日本船舶海洋工学会奨学褒賞を受賞しました。造船・重機メーカー3社、特許事務所を経験し弁理士試験に合格、現在は知的財産の仕事をしています。それらの経験から高専卒業生や知財業界志望者から相談を受けることもあり、エンジニアのキャリアに関する情報発信を始めました。

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