知財のお仕事紹介|転職や資格、向いている人について若手知財担当者が解説!

就職・転職

技術系の職種として開発や設計、生産技術などが挙げられますが、他にも知的財産(以下知財)の仕事があることをご存じでしょうか?

なんとなく「他社に技術を真似されないように特許を取る仕事」というイメージを持っている方も多いと思います。

新入社員
新入社員

配属希望のアンケートで知財という職種があるのですがどんな仕事をするのでしょうか?

キャリ造
キャリ造

この記事では知財の仕事の魅力や向いている人について紹介します!

この記事では、開発部門、特許事務所、企業知財の3つを経験した若手知財担当者の私が知財の仕事について紹介していきます。

この記事はこんな人におすすめ
  • 配属希望先について考えている理系の就活生
  • 配属希望先について考えている技術系の新入社員
  • テレワークなど自由な働き方がしたい技術系社員

そもそも知財の仕事はなぜ必要か?知財の役割について解説

そもそも知財の仕事はなぜ必要か?

そもそも「知財」とは何かということなのですが、一般的には「事業活動に有用な営業上または技術上の情報」などと定義されています。

したがって、皆様がイメージされている図面や仕様書などの技術情報はもちろん、顧客名簿や原価のような営業情報も知財に該当します。

そして、知財については、特許法や意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法といった法律によって保護される仕組みになっています。また、法律による保護以外にもノウハウとして秘密にしておくという方法もあります。

キャリ造
キャリ造

ケンタッキーやコカ・コーラのレシピがノウハウとして秘密にされ続けていることは有名です!

したがって、知財について保護すべきものをこれらの法律を駆使して自社の知財を権利として押さえておくと、他社の参入を防止できたり、他社のビジネスを制限することができます。

逆に権利を持っていないと、他社から権利を行使されて市場から排除されてしまったり、自社のビジネスが制限されることになります。

キャリ造
キャリ造

知財を考えずにビジネスすることは、将棋のルールを知らずに将棋を指し始めるようなものです。

また、他社を排除する以外にも他社に特許技術を使わせる対価としてライセンス料を得たり、特許技術であることをアピールして営業活動をしたり資金調達したりと、知財を活用することによって得られるメリットは沢山あります。

一方で、知財を権利化したりその権利を維持するためにはお金がかかりますし、例えば、特許出願すると技術を全世界に公開してしまい、他社に開発のヒントを与えるいうデメリットもあります。

このように、「知財を考えずにビジネスをすることはできない」ことと、「知財をどう活用するのか考える必要がある」ことが知財の仕事が必要とされている理由になります。

キャリ造
キャリ造

技術がどんなに移り変わろうとも法治国家である限り知財の仕事は必要とされ続けると思います。

キャリ造
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知財のリスクや活用については以下の記事で詳しく解説しています!

企業の知財担当者の役割

企業の知財担当者の役割としては、上述したメリットとデメリットとを総合的に考えて、自社の利益が最大になるように「どのように権利取得していくのかあるいは権利取得しないのか」を考えたり、「目的が達成される形で権利化」ができるように開発部門や特許事務所と調整していくのが企業の知財部門の役割になります。

特許事務所の弁理士の役割

権利取得には複雑な手続きや書類の作成技術、法律に関する知識が求められます。そこで、特許事務所という専門の事務所に弁理士という専門家がいて、企業の知財担当者がまとめた権利化の方針に沿って確実かつ有効な権利取得ができるように「書類作成や手続きの代理」をするのが役割になります。

知財の仕事の魅力を紹介

ビジネスの最上流に関わることができる

一般的にものづくりの最上流工程は研究開発というイメージがあります。

一昔前は知財担当者の仕事は「開発の後工程として開発されたものを権利化する」というイメージでしたが、それではビジネスに有効な権利を取得することはできません。

企業はビジネスにならないような開発にお金をかけるようなことはしないので、開発の前工程として、営業やマーケティング部門等からの情報に基づいて「何を開発すべきか決定するプロセス」があります。

何を開発するか考えるにあたっては、他社の権利状況を知ることが必要ですし、その開発について他社を排除して独占するためにあらかじめ権利網を構築しておく必要があります。

そこで、知財担当者は、その意思決定をサポートするために情報やアドバイスを提供するのが役割になってきます。

そして、その話をする相手は開発部門の人でもあまり話す機会がない開発部門のかなり偉い人(ビジネスのキーパーソン)であることが多いです。

キャリ造
キャリ造

さながら将軍を補佐する参謀のようなポジションになります!

このように、ビジネスの源流をサポートすることはやりがいがあり、技術そのものだけではなくビジネスに関する知識、経験を得ることができることは魅力的です。

どこでも通用するスキルが身につく

会社によって製品分野や技術内容は大きく異なりますが、知財に関する法律や実務のスキルは全国どの会社でも共通して必要とされます。

そのため、知財に関する知識や実務経験を身につけておけば様々な企業や事務所に自由に転職ができるようになります。

一般的に転職は若い方が有利なのですが、知財から知財への転職に関しては30代までであれば普通に転職できる印象です。

テレワークと相性がよく自由な働き方ができる

知財の仕事をするにあたって、開発設計のように特別なソフトウェアや設備は必要ありませんし、生産技術のように現場に常駐する必要もありません。

ノートパソコン1台あればどこでも仕事ができますし、特許事務所との打ち合わせもオンラインが当たり前になってきています。

したがってテレワークフレックスとの相性がよく自由な働き方ができます。

東京勤務の方であればテレワークを基本として出社時にはフレックスを使って満員電車を避けて遅めに通勤したりといった働き方が叶えられます。

キャリ造
キャリ造

私も出社は週2回程度です!

私も地方でテレワークを基本とした田舎暮らししながら働いています。

都会で働くことができて転勤リスクが少ない

大企業の知財部門や東京や大阪の本社にあることが多いです。それもあり、特許事務所も東京や大阪に集中しています。

したがって、知財の仕事をすることでほぼ都会で働くことができ、地方工場へ思わぬ転勤となるリスクが他の職種と比べてかなり低いです。

キャリ造
キャリ造

むしろ地方で働く方が難しいくらいです。

知財の仕事に向いている人

細かな作業や長時間のデスクワーク、個人ワークが苦にならない人

知財の仕事は基本的に文字情報とにらめっこしながら考えることが多いです。

開発設計職のように実験等で手や体を動かす機会がほとんどなく、デスクワークが退屈に感じる人には向いていないです。

また、各人、自分の担当技術や担当事業部に分かれて仕事する個人ワークなのでチームを組んで仕事をする機会もあまりありません。チームで何かを達成することにやりがいを感じる人にも向いていないと思います。

特許事務所の場合はその傾向が特に顕著で、一日誰とも話さないこともざらにあります。

コミュニケーション力(人の話を聴く力)がある人

いくら知財の仕事が個人でのデスクワーク傾向が強いといってもコミュニケーション能力が求められないわけではありません。

知財担当にしても事務所弁理士にしても、発明者(開発設計部門)と打合せや情報収集においていろんな人と協力して仕事をすることになります。

バリバリの体育会系営業マンレベルのコミュニケーション力までは必要はありませんが、人の話を聴いて話を広げることができるくらいのコミュニケーション力は最低限必要です。

日常的に自己研鑽ができる人

知財に関するスキルはどこでも通用するものですが、単に勤務時間に言われたことをやるだけではなかなか身に付きません。

勤務時間外であっても、技術や制度について勉強する必要があります。

したがって、新しいことを積極的に勉強する知的好奇心があって自己研鑽できる人が向いています。

英語力は必要?

英語力は高いに越したことはありませんが、外国の特許事務所と関わるとしても、日本語が話せる方が窓口になってくれるので話せるようになる必要性は低いです。

外国の文献を読んで理解できる程度の英語力は欲しいところですが、翻訳ソフトの進化も著しいので、他の勉強に比べれば優先度は低いと思います。

もちろん英語力が高いと活躍の場が広がるので高めておいて損はないです。

知財の仕事に役立つ資格紹介

ここでは、知財の仕事を始めるきっかけとなり得る代表的な資格を紹介します。

知的財産管理技能検定

知財のマネジメント(管理)に関する資格で、内容的に企業の知財担当者におすすめの資格です。

国家試験 知的財産管理技能検定 トップ

1級から3級まで用意されており、まずは3級を取得して就活や転職、異動願いに活用するとよいと思います。

企業の知財担当者としては2級を取得している人が多い印象です。

1級については、2級を取得した次の目標として弁理士資格取得を選択する方が多めで、取得者はあまり多くない印象です。

弁理士

特許事務所で企業等から依頼を受けて書面作成や手続きの代理をするために必要な資格です。

弁理士とは | 日本弁理士会

特許事務所で技術系の仕事をするのであれば必須となります。

なお、無資格者でも特許技術者という立場で仕事はできますが、弁理士の補助者という立場であり単独で仕事をすることができません。

企業知財の場合は代理人ではないので、弁理士資格は必須ではありません。

キャリ造
キャリ造

私も弁理士試験に合格していますがお金がかかるので登録していません。

もちろん弁理士試験の勉強内容は実務で役に立ち、一定の評価を得ることができますが、資格取得に必要な費用や時間、労力を考えるとコスパとタイパが悪いと言わざるを得ません。

キャリ造
キャリ造

弁理士試験の合格ノウハウについてもまとめています!

特許検索競技大会

知財の仕事の一つとして特許調査の仕事があり、特許調査のスキルを客観的に評価する大会です。

特許検索競技大会

競技大会と銘打っていますが、資格試験のようなもので、成績上位者にはその成績に応じて、ゴールド、シルバー、ブロンズの認定を受けることができます。

キャリ造
キャリ造

私もブロンズ認定を持っています!特許調査について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください!

知財業界への転職に有効なので開発部門で特許調査の経験があり、知財の仕事をしたい方は挑戦してみてもよいと思います。

知財の仕事をするための就職先・転職先

企業の知財部門

企業の知財部門に入るためのルートとしては、新卒で配属されるルートと転職で入るルートがあります。

即戦力となる経験者が求め、未経験であれば若くて素直な新卒を育てた方がよいとの考えの会社も多いため、未経験者が異動や転職で入るハードルは高めです。

未経験で入るのであれば30代前半を目途に企業の開発部門で知財窓口で経験を積んだり、知的財産管理技能検定に合格するなどして知財に対する理解があることをアピールするとよいと思います。

企業の開発部門(知財窓口)

企業の開発部門には知財部との窓口としての役割の方がいることが多いです。

他の開発業務と兼務であることが多くそれなりに大変ですが、知財部門へ異動や転職を考えているのであれば、まずはこのポジションで経験を積み、それをきっかけに知財部へ異動や転職を目指すとよいと思います。

特許事務所

特許事務所は人手不足の傾向にあり、未経験者にも門戸を広く開いていることが多いです。

しかし、入ること自体は難しくなくても、そこから一人前になるために実務に励みながら勤務時間外のほとんどを弁理士資格取得に注ぎ込まなければならないので、大変な生活となります。

また、大企業のような福利厚生はなく、売り上げが上がらない修行中は給料も低めの水準に留まります。

一方で、能力次第で企業では達成できないレベルで稼げたり、自由に働ける点が魅力的です。

キャリ造
キャリ造

良くも悪くも特殊な環境なので、転職を決める前に以下の記事を一読してください。

特許調査会社

企業等から依頼を受けて特許調査をする会社です。

これまでの手作業による検索式作成とスクリーニング、報告書作成が主な業務でしたが、生成AIの進化とそれに伴う調査ソフトウェアの進化によって転換点を迎えています。

これからは、個人の調査スキルよりソフトウェアに依存する割合が増えてくると思われるので、AIやソフトウェアの開発に関するスキルと知財のスキルとを組み合わせて活躍したい方におすすめです。

まとめ

以上、知財の仕事の魅力や向いている人などについて解説しました。開発や設計以外にも視野を広げて希望職種の選択肢に知財も加えていただけると幸いです。

キャリ造
キャリ造

知財業界への転職ノウハウもまとめているので参考にしてください!

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